講師専用 協会員専用 心理士専用

選択理論とは

リアリテイセラピーは、人は外側の刺激によって反応するのではなく、内側から動機づけられて行動を選択するという選択理論心理学を基盤としたカウンセリングの一手法である。選択理論の提唱者ウィリアム・グラッサー博士は、「選択理論」と命名する前は「コントロール理論」と呼んでおり、ウィリアム・パワーズから学んだと言っている。

認知心理学の範疇に入るこうした理論は、コンピューターの誕生と同時期であり、情報を処理し、活用するためには、入力、保存、検索という段階がある。選択理論のカラーチャートと通称呼ばれている教材は、まさにこうした段階を図示したものである。

選択理論によると、人は外側の刺激によって動機づけられると考えずに、人は内側から動機づけられるとする。内側から動機づけるものを「基本的欲求」と呼び、5つあるとしている。「生存」、「愛・所属」、「力」、「自由」、「楽しみ」という5つの欲求である。こうした欲求を満たすためには、物、人、信条がからんでくる。愛の欲求を満たすためには愛する人が必要である。この愛する人が入っている脳のなかの特定の場所を「上質世界」と呼ぶ。人それぞれの上質世界の中身は異なるものだという認識は、人間関係で重要である。自分の上質世界にあるものを相手に押しつけようとするところから、人間関係に問題が起こる。私たちの脳の働きは、自分の上質世界にあるものを得ようとして、特定の行動を促す仕組みになっている。コーヒーの味を自分の好みの味にするために砂糖やミルクを入れる行動がそれである。グラッサー博士は行動には4つの要素があるとして、それを「行為」、「思考」、「感情」、「生理反応」として、行動を全体としてとらえ、「全行動」と呼んでいる。グラッサー博士の貢献のなかでも筆頭にあげられるほど、この「全行動」は重要な概念である。全行動が納められる場所を行動のシステムと呼び、ここから創造性が産み出されるのである。グラッサー博士は、すべての人が創造的要素を持っているとしている。選択理論を身につけた人がカウンセリングをすると、それはリアリティセラピーと同じものになる。発達段階的にはリアリティセラピーが存在しており、後で理論として選択理論が紹介されるようになった。選択理論の登場によって、グラッサー博士の守備範囲は拡大したと言える。

リアリテイセラピーが他の療法と大きく違う点は、過去ではなく現在に焦点を合わせ、より良い将来を選択するお手伝いをすることにある。選択理論は、人が幸せな人生を送ろうとするなら、 過去がどんなものであろうとも、今を生き、今の情況で計画しなければならないことを教えている。リアリテイセラピーの実践にあたっては、 温かい信頼できる関係をクライエントと築き、クライエントの望んでいるものと、現在選択している行動を自己評価していただく。この自己評価に基づいて、達成しやすい願望(上質世界にあるもの)を手に入れる方法を共に考える。


参考書籍